はじめてのAWS導入支援ガイド│クラウミチ
sponsored by TOKAIコミュニケーションズ
はじめてのAWS導入支援ガイド│クラウミチ » オンプレミス環境のAWS移行ガイド » 既存システムのIPアドレスを変えずにAWSへ移行する方法

既存システムのIPアドレスを変えずにAWSへ移行する方法

※このサイトはTOKAIコミュニケーションズをスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。

オンプレミス環境からAWSへ移行したいけれど、「既存システムのIPアドレスを変えられない」とお悩みではありませんか?長年運用してきた基幹システムはIPアドレスが設計の根幹に組み込まれ、変更が困難なケースが多々あります。

本記事では、IPアドレスを維持したままAWSへ移行するための現実的な解決策と、その前提となる移行アセスメントの重要性を解説します。

オンプレミスからのAWS移行で立ちはだかる「IPアドレスを変えられない」問題

オンプレミス環境からAWSへの移行を検討する際、多くのエンタープライズ企業が直面するのが「既存システムのIPアドレスを変更できない」という泥臭い技術課題です。

クラウドのベストプラクティスでは、移行を機に新しいIPアドレス体系(VPCのCIDRなど)を再設計し、柔軟に運用することが推奨されます。AWSはマルチAZ(複数のアベイラビリティーゾーン)構成での冗長化を前提としており、本来はIP直指定ではなくDNS名による接続が望ましい設計思想です。

しかし、長年稼働してきた基幹システムやレガシーシステムでは、IPアドレスがシステム間連携の前提として深く組み込まれており、簡単には変更できません。この問題を放置したまま移行プロジェクトを進めると、後になって「外部システムとの連携が切れた」「アプリケーションが立ち上がらない」といった、業務停止級のトラブルに発展する可能性があります。

既存システムのIPアドレス変更が困難な3つの理由

なぜ、長年運用されたオンプレミス環境ではIPアドレスの変更がこれほど難しいのでしょうか。主な理由は以下の3点に集約されます。

1. プログラム内にハードコードされたIPアドレスの存在

古いシステムや、ドキュメントが残っていないブラックボックス化したアプリケーションでは、ソースコードや設定ファイル内にIPアドレスが「直接(ハードコード)」書き込まれていることが珍しくありません。
DNS名(FQDN)での名前解決が行われていればIP変更は容易ですが、ハードコードされている場合、IPを変更するだけでシステム全体の改修・再テストが必要となり、莫大なコストと時間がかかってしまいます。

2. ファイアウォールやアクセス制御リスト(ACL)の依存関係

オンプレミスのネットワーク機器(ルーターやファイアウォールなど)において、セキュリティポリシーが特定のIPアドレスをベースに厳格に固められているケースです。
何百行、何千行にも及ぶアクセス制御リスト(ACL)から、対象となるIPアドレスを特定して書き換える作業は設定ミスのリスクが高く、ネットワーク部門にとって大きな負担となります。

3. 取引先・外部システムとの連携制約

自社内だけで完結するシステムであればまだしも、取引先や関連会社と専用線やVPNでつながっている場合、IPアドレスの変更は他社をも巻き込む大ごとになります。
「こちらのAWS移行の都合で、そちらのルーター設定や許可リストを変更してほしい」と依頼しても、調整には数ヶ月を要することが多く、移行スケジュールの深刻な遅延を招きます

IPアドレスを維持したままAWSへ移行する現実的な解決策

IPアドレスを変えられないという制約がある場合でも、AWSの機能やネットワーク設計を工夫することで、現在のIPアドレスを維持したままクラウドへ移行することは可能です。代表的な4つのアプローチを整理します。

解決策 適用ケース メリット
BYOIPの活用 パブリックIPアドレスを外部公開している場合 取引先や顧客側の設定変更・DNS変更が一切不要
専用線・VPNによるルーティング 社内向けのプライベートIPを維持したい場合 オンプレミスとAWS間でセキュアかつシームレスな通信が可能
MGNによるIP引き継ぎ サーバー単位で同一プライベートIPを維持したい場合 移行ツールの設定で元サーバーのIPをそのまま再現できる
L2延伸(レイヤー2拡張) サブネット分割すらできず、同一ネットワーク帯を維持したい場合 既存システムのIPやルーティング設計を一切変更せずに移行可能

AWSの「BYOIP(Bring Your Own IP)」を活用する

BYOIP(Bring Your Own IP)は、企業が所有するパブリックIPアドレス帯を、AWS環境に持ち込んで利用できる機能です。
自社で取得したIPアドレス帯をAWS上で広告・ルーティングさせることで、外部から見たIPアドレスを一切変更することなく、裏側のサーバーだけをAWS(EC2など)へ置き換えられます。外部向けサービスの無停止移行や、取引先とのIPベースのアクセス制限を維持する際に非常に有効です。
ただし、持ち込めるのは自社が正式に所有・登録するグローバルIP(IPv4は/24以上の単位)に限られ、利用開始までにROA登録など数週間の準備期間を要する点には留意が必要です。

VPN・AWS Direct Connectによるシームレスな接続

プライベートIPアドレスを維持したまま移行したい場合は、オンプレミスとAWSを「AWS Direct Connect(専用線)」や「AWS Site-to-Site VPN」で接続し、同一のネットワーク空間として扱うアプローチをとります。
既存のオンプレミス環境とAWS VPC間でBGPなどによる適切なルーティングを設定することで、クラウド上のサーバーであっても、オンプレミス時代と同じプライベートIPセグメントを利用・通信させることが可能です。

移行ツール(MGN)によるサーバー単位のIP引き継ぎ

サーバーを個別に移行する場合は、AWSの移行ツール「AWS Application Migration Service(MGN)」が有効です。起動テンプレートの「プライベートIPをコピー」設定を使えば、元サーバーのプライベートIPを維持したままインスタンスを起動できます。
ただし、引き継ぎたいIPが移行先サブネットのCIDR範囲に含まれていないと起動に失敗するため、VPC・サブネットのCIDR設計を移行元のIP体系に合わせて事前に行うことが大前提です。なおこの機能はIPv6には対応していません。

ハイブリッド環境でのL2延伸(レイヤー2拡張)

どうしてもIPサブネットすら変更できず、オンプレミスとAWS間で同一のブロードキャストドメイン(L2)を維持しなければならないといった特殊なケースでは、仮想ルーターアプライアンスや専用ソリューションを用いた「L2延伸」技術が検討されます。
非常に難易度の高いネットワーク設計が求められますが、既存環境に一切手を入れずにリフト(Lift)移行する最終手段として機能します。

古いシステムの泥臭い課題は「移行アセスメント」で洗い出す

ここまでIPアドレスを維持する解決策を紹介してきましたが、これらを安全に実行するには「どのサーバーが、どのIPアドレスを使って、何と通信しているのか」を正確に把握することが大前提となります。具体的には、以下の棚卸しが必要です。

しかし、長期間運用されたエンタープライズシステムでは、担当者の異動・退職やドキュメントの陳腐化により、依存関係がブラックボックス化しているのが現実です。
「とりあえず移行してみよう」と見切り発車で進めると、移行作業の終盤になって予期せぬ通信エラーが多発し、業務停止(ダウンタイム)が長期化するリスクがあります。こうした手作業による調査の限界を突破するのが、専用ツールを用いた移行アセスメントです。「AWS Application Discovery Service」などのディスカバリツールを活用すれば、サーバー間の複雑な通信依存関係を自動で可視化し、維持すべきIPと改修すべきIPを客観的なデータに基づいて切り分けられます。

AWS移行の技術的な壁を乗り越えるために

IPアドレスを変更せずにオンプレミスからAWSへ移行することは技術的に可能ですが、ネットワークアーキテクチャの深い理解と、既存環境の正確な現状把握が不可欠です。

自社だけで調査や設計を進めるのが難しい場合は、AWSの専門知識を持つパートナー企業による「移行アセスメント」を活用することをおすすめします。
アセスメントを通じて、既存システムに潜むIPアドレスのハードコードやネットワークの依存関係を洗い出し、AWS移行シナリオとロードマップを描くことができます。AWS移行の失敗を避ける第一歩として、まずは現状の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。

AWS移行アセスメントや導入支援に関するご相談はこちら

監修
sponsored by
TOKAIコミュニケーションズ
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
一緒に悩み寄り添いながら
どこまでもサポート

TOKAIコミュニケーションズは、AWS導入から設計・移行・運用までをワンストップで支援するクラウドの専門家。AWSプレミアティアサービスパートナーとして豊富な実績を誇り、 600社以上(2025年9月時点)の導入実績と高い技術力に裏打ちされたサポート体制で、クラウドに不安を抱える企業の心強いパートナーです。

参照元:TOKAIコミュニケーションズ公式HP(https://www.cloudsolution.tokai-com.co.jp/)